うちの病院のサバイバーシップ講義シリーズの一環で、いつも抗がん剤治療の皮膚障害に関するレクチャーでした。今日は午後から。なかなか面白かったので、備忘録も兼ねて、忘れないうちに学んだことを書いておこうと思う。
サバイバーシップに主眼置いた皮膚障害ということでどうやって予
まず、基本の基本ですが。
保湿:
アメリカの薬局売ってる市販のもので十分。ただ水に触れたら、すぐにこまめに塗るのが大事。皮膚のバリアを整えておくことで皮膚障害が起こりにくい素地ができる。
基剤が何かは大事で
– Ointment (軟膏)は80%が油分 例: Petroleum jelly: Vaceline(ワセリン), Aquaphor
– Cream (クリーム)は50%が油分 例:Neutrogena, Crave, Cetaphil Eucerin )など。
基本はクリームの方が、伸びもいいし、ベタベタしないので現実的。Rash(
痒み
効果的な市販クリームは
Sarna :menthol(メンソール)
Cerave itchi Relief :こっちはpramoxine (procaine:局所麻酔の成分) が入っていて、で皮膚の感覚を麻痺させて痒みを和らげる。
ついつい、抗ヒスタミンのbenedeyl やらステロイドを勧めてしまいがちだが、こないだそれがあまり効果なくて困っていた患者さんにSarna をお勧めしたら意外とよかったらしいので私は絶賛お勧め中。日本で行ったらメンソレータムみたいなのかな?実は私はまだ買ったことないので、よくわかってないのですが。
日焼け対策
あとはもちろん日焼けを防ぐ日焼け止めに関しては、Broad spectrum のものを選べば良いとのこと。SPFは30%でいいらしい。ポイントはどんなタイプの日焼け止めをするか。Physical sunscreen (紫外線散乱剤) vs Chemical sunscreen (紫外線吸収剤)どっちでもいいが、肌の炎症を起こしてる人、湿疹のなどがある場合には、もちろんPhysical Sunscreen がおすすめ。去年メキシコに行った時、環境保護のため海では生分解性(biodegratable) な日焼け止め しか使えなかったので、この酸化亜鉛などのベースのPhysical suncreenを使ったが、伸びが悪いのが難点。
爪のケア・髪のケア
予防という観点では、やっぱり話題になるのは化学療法中のクーリング。乳がんの方が使う、タキサン系で、結構爪に障害が出るのと、脱毛が起こるので指先のクーリングだったり、頭皮のクーリングについて。まだ指先についてはデバイスがないのですが、頭皮のクーリングは器械がうちのがんセンターの点滴室に入ったとのことで、乳がんの先生型を中心に盛り上がってましたが。これについては後日また詳しく書こうと思います。
爪に関しては、地味ですが、真菌感染などを起こすと治療がとっても大変なので、リスクの高い方はちゃんと目を配らねば。術後補助療法で抗がん剤をしようする場合には、ガンが寛解に至っても爪を見るたびに、治療やガンを思い出すということもあるので、アピアランスケアとしては大事だと強調していた。
ちなみに、ロゲインは予防にはならないが、生えてくる時期を早める効果はあるとのこと。残念ながら、消化器では脱毛を起こす薬は多くが、転移性のガンで使われることが大多数ということもあり、この辺りのケアについてあまり目が向いていなかったので、反省するとともに、自分の意識が医療者から患者さん目線にシフトできた気がします。
サプリメント
皮膚科の先生のおすすめサプリについては、
Biotin:ビタミンB7の水溶性ビタミン。皮膚障害がある方、そして爪、なんと髪にもいい+特に副作用もないので、この先生も積極的に使っていたとのことですが。最近FDAから注意喚起があったようで、Biotinを飲んでいると、血液検査値 甲状腺系のホルモンTSH,PTH,T3,4に異常値が出たり、心筋梗塞の際に用いられるトロポニンなども信頼性がなくなるとのこと。甲状腺系のホルモンに関してはホルモン値を計測する1週間前に服用をやめればオッケーらしい。私は日本の友達からもらった美容ビタミン処方薬セットにこのビオチンが入ってたのを思い出し、最近積極的に摂取中。
https://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm586641.htm
ガンの治療に関する皮膚障害の講義だったのですが、あまり意識していなかった部分にフォーカスされた内容でとても面白かった。メモ:EGFR系の薬剤の時のアクネ用の湿疹は、通常の抗生剤などを使って2週間たっても治らない場合は早めにガン関連の皮膚科にすぐに診療依頼をするのが大事とのこと。大抵、培養をすると、ほかに通常使う、Doxicyclin やらClindamycin ではカバーされない、感染の起因菌が見つかること多し。
ついつい、治療の進捗やら、メジャーな抗がん剤の副作用(吐き気、下痢などの消化器症状、骨髄抑制、神経障害)に目が向いていたけど、患者さんの目線で副作用をみる余裕があるといいなと改めて感じた1時間のずっしり勉強会でした。