以前に書いたNCLEXの勉強法を振り返る の続きということで。
英語の勉強においてよく言われる、日本語に訳さずに英英辞典なども使って勉強した方がいいのか?このブログを読んでくれている方からも質問をいただいたので、自分経験も踏まえて書いてみたいと思う。
結論から言うと、英英辞典が理解できるレベルの英語力(主に語彙力)がすでにある場合には英英辞典で日本語にも訳さずに勉強できたら素晴らしいと思う。ただ、英語(主に医療英語)が得意でない場合には、個人的に英和辞典・ステッドマン医学大辞典 (当時はスマホもないので、ステッドマンの入った電子辞書に一番お世話になりました)、ネットなどでさっくり調べて日本語を介して勉強した方が効率的だと思う。なぜなら、英語で調べても、説明文の意味がわからないし、説明文を調べるのにも時間がかかる。
恥ずかしながら、私がNCLEX勉強を始めたころ(2007年)の英語力(TOEFL 60点以下・TOEIC 450点レベル)では、例えばHyperthyroidism を英語で調べた場合に以下の説明があったら、そもそもいちいちそれぞれの単語を調べ、単語帳を作り、とこの文章を読むのに軽く20分かかっていたと思う。今ならボキャブラリーとリーディングの力があるので単語を調べずに、10秒もかからずこの文章を読める。というわけで、NPの資格試験や、がん看護(2016年ごろ)の認定試験は基本は英語のみで(たまに日本語で調べけど)勉強しました。
”Hyperthyroidism is a set of disorders that involve excess synthesis and secretion of thyroid hormones by the thyroid gland, which leads to the hypermetabolic condition of thyrotoxicosis. The most common forms of hyperthyroidism include diffuse toxic goiter (Graves disease), toxic multinodular goiter (Plummer disease), and toxic adenoma. ”
これから勉強をはじめる人はざっくりとNCLEX問題集を見てどこが弱点かを考えてみるといいかもしれません。自分の場合、NCLEXの勉強においての乗り越えるべき壁は3つあった。
ボキャブラリー不足
これは単純に英語さえわかれば、答えがわかるのにという類の問題。自分の医療看護知識が足りないのではなく、英語を知らないから答えがわからないという場合である。医学英語の語彙がほぼゼロだったので知らない単語を見つけたら、単語帳を作り、電車待ち、通勤時間、寝る前にひたすら単語帳をめくる日々でした。当たり前ですが、ボキャブラリーがないとそもそも問題の意味も、選択回答の意味もわからないということになるので、NCLEXにおいてボキャブラリービルディングは必須です。
ひたすら覚えるうちに、接尾語、接頭語など(例:leuko– 白い, 無色の, 脳の白質,白い,cyto- 細胞,細胞質, osis – 病態というわけでLeukocytosis- 白血球増加症)で大体の意味を掴めるようになった。後にアメリカ で医療用語のクラスをとり、最初からこうやって覚えておけばよかったんではと大後悔。個人的にはきちんと接頭語/接尾語を意識して覚えておくと効率がいいと思います。
医学・看護知識不足
そもそも、日本語で聞かれても正解がわからないという類の問題。アメリカ 特有の疾患、例えば、Lyme disease(ライム病、ダニに噛まれることでかかる感染症)の感染危険地域、症状だったり、黒人の方多いSickle cell anemia(鎌状赤血球貧血症)のpain crisis (疼痛発作)を防ぐための看護などは、正直普段見たことがないので??? 後は、保険制度などは日本とは全く違うので、その辺りはテキストなどで基礎知識を入れておく必要がある。後は日本で働いていたバックグラウドにもよるが、私の場合はICU、外科、救急だったので、急性期のケアだったりスワンガンツカテーテルの管理などは知識としてあったが、逆に整形外科の骨折時のコルセットや牽引の看護などは、はて???というわけで、ボキャブラリーを積み上げつつ、日本の国家試験と同じように自分の詳しい分野外の疾患、治療、症状に応じた看護の注意点などの知識の見直しは必須かと。
リーディングスピード
英語力にも関係することではあるが、ある程度のスピードで回答していかないと回答時間がなくなる恐れが。NCLEXは通常75 – 265問、もしくは最大で6時間を使い程度の難易度の問題を合格ラインを超える割合で正解していく必要がある。つまるところ、自分の正答率がイマイチなまま、時間を使いすぎてしまうと6時間経つ前に時間切れになってしまうこともあるということである。というわけで、一問1分程度で回答できるようにトレーニングしておくことが大切である。外国人受験者の場合にはここが意外と大変だったりもすると思う。ボキャブラリーがきちんと積み上がっていること、そして、正解の選択肢を選ぶための看護・医学的知識があることが大前提だが、リーディングに時間がかかることが多いのでこの時間感覚を普段の勉強から意識しておくのは大切だと思う。
前の記事にも書いたが、私がアメリカで資格試験勉強するときは必ず時間を図るようにしていた。解説を読む、復習用の単語帳or まとめノートを作るのに要する時間にもよるが、NCLEXの勉強初期には20分で20問の問題を解き、40分かけて答え合わせ、分からなかった単語、看護知識の復習を1時間のセットにしてSaunders の問題集をひたすら解いていた。少しずつ読むスピードが上がったこと、2周目で問題集をする場合には答え合わせに要する時間が減るので、試験前には、30分で30問の問題をとき25分で答え合わせというスタイルに変えていった。
リーディングのスピードにおいては、頭の中で和訳せず(返り読みをしない)に頭からどんどん訳していく癖をつけとくといいと思いました。私はあまりに語彙がないので、最初からこれをするのは無理なレベルだったけど、ある程度語彙が増えたところで、和訳はせずに、文の前から読んで意味を取るようにしてました。(直読読解と言うんでしょうか?)こればかりは、元々の英語力に依存するのでなんとも言えませんが。NCLEXの問題はそんな複雑な文法はないので、語彙さえあれば意味がとれるものが大半かなと印象があります。
7. When caring for an infant during cardiac arrest, which pulse must be palpated to determine cardiac function?
A- Carotid (頸(けい)動脈
B- Brachial (上腕)
C- Pedal (足背)
D- Radial (橈骨)
この問題の場合、回答の選択肢は動脈の位置。問題文を前から読んでいくと、『ケアする、新生児を、心停止の間、どの脈、触知しなければ、決定するために、心機能を』意味を取っていきます。要はどこで心臓が動いてるかを確認するのか?を考えればいいので。正解はBのBrachial。(解説:小児の場合は頸動脈は脂肪が多くて脈が取りずらいので、簡単にアクセスできるBが正解)
現場で働くための英語力
これはあくまでNCLEXをパスするための勉強であって、その後看護師として働く上では、さらなる英語力が必要であることは言うまでもない。ちなみにNCLEXの勉強で英語に慣れることはあっても、TOEFLやIELTSのテストスコアもほとんど上がらず。あの時の英語力を踏まえて、自分にはNCLEXは試験対策として割り切って勉強するのが一番良かったと思っている。TOEFLはのちに語彙を増やし、対策問題をしないと基本的には歯が立たない試験だと思うので。
私自身は看護師としてアメリカで働いてないけど、NPの学生として苦労したので、あえていうなら語彙を増やす時には是非とも正しい発音を身につけておくといいと思う。日本の医療業界にはカタカナ英語が多いので、薬の発音も含めて、単語を知ってるのに発音して通じないことは多々あり。
現場で働く上での英語力はまた別のブラッシュアップが必要となるのは確実で。例えば、日常で患者さんが医療用語を使ってくれるわけではないので吐き気を訴える患者さんが”nausea”ではなく”queasy”といってきたり。足の痙攣を”cramping “ではなく”charley horse”といったりと、テストには出ないけど、実際の患者さんとのコミュニケーションを通じて現場で覚えていくしかなかったり。看護師として英語で患者さんのどう指導をするか、どうやって症状を質問するかなど、もちろんNCLEXの勉強をしている間に身につけられたらいいが、私の場合には全くそんな時間も余裕もなくなってしまった。でも、時間が限られている中で、ある程度いい加減な部分を許容して、ひとまずNCLEXをパスすることを主眼において勉強するのもありかなと、結果、苦労はしてますが(現在進行形)遠回りしたけど、現場でなんとか働けていますよという体験をシェアできたらと書いて見ました。英語の得意な方には全く参考にならない話で申し訳ありません。
NCLEX 以外の試験勉強についてはまたの機会に。