リモートで働く@アメリカの医療

リモートで働く@アメリカの医療

3月から続く、COVID19パンデミックによる仕事での大きな変化はリモートワークがこの6ヶ月で進んだことである。3月当初はエッセンシャルワーカーとして働く、COVIDのテストも含めてするという勤務体制(妊娠中ということでこれは免除してもらったが)。私の勤務する癌センターでも、ビデオ診療への移行が始まり、気がつけば診療の90%がビデオ診療に移行した。

元々、週4勤務でクリニック業務がない1日のはアドミンの日(診療記録、保険会社対応、診療の準備をする日)は家から働くことにしていたのだが。うちのクリニックでCOVID陽性のスタッフが発生したり、人数が多すぎてソーシャルディスタンスして座れないといったことがあり。7月にちょうど20週に入った妊娠をカミングアウトしたタイミングで、一緒に働く医師からもクリニックに来ないで家からのリモートワークを推奨された。

ちょうどリモートワーク用のパソコンも6月に受け取っており、あとはチームメンバーとどうクリニックを運営するかを決めていった。通常患者数が多く、NP/PAだけでなく、フェローやレジデント複数の人が働くDr. Fのクリニックでは、zoom を朝から夕方まで繋ぎ、セキュリーティーの設定されたクラウドに各患者さんのプランなどを共有する書類を作りチーム間での情報共有の場にした。もう一つのDr.Sのクリニックは逆に少数なので、電話と電子カルテ状の掲示板のやりとりのみでクリニックを運営することにした。

この7月から始まった完全リモート診療、最初はコミュニケーションの部分で大変だったが、いざ初めてみるとかなりスムーズにいった。前日までにどの患者を診療するかを割り当て、その患者さんの予診をビデオ診療で行い、医師に治療の経過や、患者さんの状態を報告して、大まかな治療方針を決めて、医師とそれぞれ遠隔でビデオ診療に参加して、最終的な治療方針を決定。医師がログオフしたあとは、患者さんと今後の治療スケジュールや治療が変更の場合には教育をして診療が終了となる。

もちろん、全身状態や胸部や腹部所見を確認したい患者さんなどは、クリニックで診療する必要があるため完全移行とは行かないが。電子カルテも最初は患者さんと1プロバイダーのみのログインしかできず、複数が診療参加する場合(通訳や患者家族が患者さんとは別の場所で参加)する場合にはzoomの使用が推奨していたが、複数が診療に参加できるようになり、かなり便利になった。ITの方たちのアップデートぶりに感謝!特に、遠方からセカンドオピニオンに来ていた患者さん(治療効果判定時にCTの画像を持って来ていた)などはこのリモート診療は評判がよかった。一方で、化学療法のためにそもそもがんセンターに来ている患者さんからは直接プロバイダーに診察してもらいたいといった意見も聞かれた。

ただ、私個人としては、通勤(車で片道45分の通勤、電車では片道1時間20分)が削減されて、かなり楽ちんだった。それに加え、メイクも途中から眉だけにしてしまい、そこも時間短縮。あとはどんどん大きくなるお腹でマタニティーパンツすらきつくなってきた妊娠中期、服装なども上半身だけきちんと服を来て、下はヨガパンツで楽ちん。眠気が襲った時には、家のカウチで15分のパワーナップをしたり。少し空いた時間ご飯の支度をしたりと、確実に仕事効率が上がった。6時が定時だが、7時過ぎまで仕事をしてもあまり残業した感もなく、すぐにご飯の支度に取り掛かれたり。毎朝のCOVIDアップデートのミーティングも前は通勤の車で参加していたが、ヨガをしながら、朝ごはんを食べながら参加したりとかなり自由。

大学院時代の同級生が、精神科のクリニックでリモートで働いていて、リモート最高!と去年話を聞いていた時はあまりピンと来なかったけど。確かにかなり楽ちん。ただ、同僚たちと会う機会が減り、雑談したりというコミュニケーション不足の部分はあるけども。これはこれで一つの働き方だなと考えるきっかけになったと思う。リモートをどこまで行うかという診療体制は各チームに委ねられていたが、私が一緒に働く医師も看護師やNPも皆協力的で本当に感謝。 COVID パンデミックで不安も多かったけど、結果的にはこのリモートワークのお陰で 妊娠中も問題なく働けたように思う。

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