自立を失う恐怖

自立を失う恐怖

時間的にまだ余裕があると思っていたが、気づけば引越しまであと3週間をきったのに、育児の合間には荷造りもままならずまだ一箱目の荷造りを今日始めたところである。引越しの準備が進まないのは育児だけでなく、仕事を辞めなければならない今回の引越しが憂鬱であることに気づいた。

今住んでいる場所は、日本への直行便もあるのでこの4年間日本からの友達にも会いやすく、日本食も充実していて、現地に友人もできたし、家賃と物価と税金が高いので贅沢はできないけど楽しく暮らしていた。引越し先は家賃と税金は安いが日本食スーパーも日本への直行便もない場所。しかし何よりも大きなことは、引越し先には癌の拠点病院がなく、Oncology NPの仕事が極端に少ないのである。

夫は出会った時からアカデミアを目指しており、狭き門であるアシスタントプロフェッサーの職を得られた場合には場所がどこでもついて行かないとなというのは結婚した時に覚悟していたし。娘が生まれた今は、物価と住居費が高い場所を離れて学区のいい場所に家を買ったりする時期だというのも十分に理解している。娘が生まれる前は、3時間離れた都市にある全米一のがんセンターで私は働き、週末婚にしてもいいかもなどと話していたが。育児が始まった今、そのようなライフスタイルは現実的ではない。

私は社会人になってから、長期旅行や留学をするために幾度となく転職をしてきたが、基本ずっと自分のライフスタイルやゴールに合わせて仕事を選んだし、いつも自分にとってベストと思う場所に引越しをしていた。そして何よりいつも経済的に自立していた。しかし、ここにきて夫の都合で自分だったら選ばない都市へ引っ越すために今の仕事を辞めなければならない。夫は急いで仕事を探さずとも、一年くらいは専業主婦しながら、本当に自分でしたいこと(ライフワーク、PhD)を見つける自分探しをしたらいいと言ってくれてラッキーと思っていたが。収入がなくなる=自立を失うことなので、むしろ恐怖だと思う。正直なところ、娘が生まれてからこの2ヶ月半、子育て生活になかなか適応しようとしない夫にイライラして喧嘩するたびに、もう別居なり離婚して、私はここに残る!!というのが決め台詞だったのだが、それももう使えなくなってしまう訳で。この引越しは私にとって清水の舞台から飛び降りる気分なのである。

そもそも新天地で自分のしたい仕事が見つかるかも分からないし、産休前も在宅勤務だったので、引越し先で今の職場で在宅勤務ができないか交渉しようと思ってもいたのだが。少し前にパートタイムのNPが雇用されたので、もし私が辞めたら、確実に彼女が私のポジションを埋めることになるので、在宅勤務の交渉はほぼ無理だということが数日前に発覚(一応、交渉はしてみるつもりだけど)。働いている時は、色んなことを愚痴っていたけども、失うとなるとこんないいポジションもう他にはないのではと思ってしまう。

というわけで、引越しのための荷造りもしないといけないが、滞っていたというか、後伸ばしにしていた、ライセンスの移行の手続きや、CVのアップデートをして転職に備ねばと思う今日この頃。

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