先週末は貴重な休みを潰して一日の研修に行ってきました。
診療従事者(特に医師とNPとフィジカルアシスタント)を対象にしたもので、American academy of communication healthcare (以下ACH) という機関が研修を重ね、効果的だと提唱する診療のコミュニケーションスキルを学ぶという研修でした。
どうやらメイヨークリニックがこのプログラムを使って研修をしたら効果があったことが研究成果として積み重なっているという触れ込みで、うちの関連施設でも絶賛称賛中。わたしが働いてる医師の一人が患者満足度を強化するのために、フィジシャンコーチから勧められたこともあり、彼女のチームで働く自分も研修に参加したのですが。ロールプレイ中心のなかなか面白い研修でした。
忘れないうちに、学んだ内容をブログに書いておこうと思います。
スッテプ 1 (診療の初めに必要なスキル)
患者さん主訴と今回の診療に対する期待をあらかじめ全て聞き出し、何にフォーカスしてこの診療を終えるかというのが目的。
信頼関係を素早く作る
1. 自己紹介と自分の役割などを簡単に紹介
2. Small talk をして場を和ませて、大きなことを話す前に
3. コミュニケーションのバリアを認識する(言語など、通訳をオファー)
全ての問題リストを引き出す(Elicit the LIST of All Item)
この受診の目的や主訴などを確認するのだがここで、きちんと他に気になることがないかを全部あげておくおことが大事である。“what else ?? (他には?)“ とどんどんと聞いて、患者さんの訴えを全部出しておくことで、Door knob question (診察を終えようとしてドアに手をかけたときに患者さんが、最後に実はここにきた理由はこれなのだと質問を受けること)を防げるというわけだ。
ここで大事なのは”Anything else ?”は使わないこと! ”Anything else ?” は似ているが、他にはないよね?に近い意味とのことです。私いつもIs there anything else ?と連呼してたので、、、注意。
課題の交渉 (Negosiate the Agenda)
こうしてリストを出し、患者さんの気になることのうちどれをこの診療で扱うかを臨床的判断による優先順位をつけて、自分の今日の診療のゴールそしてこのプランで良いかを患者さんと交渉する。
ステップ1で患者さんの主訴を洗い出す、しっかりと患者さんの期待値をコンロールしていくことで、患者さんの満足度も高まるし、時間的にも効率的に診療を進められるとのこと。普段化学療法の患者さんが多いだけに、ついつい、化学療法の副作用をスクリーニングしてながら、一個ずつ詳しく症状を聞き出してしまうのだが。患者さんに気になることをきちんとあげてもらって、お互いに今日の診察のゴールを決めておくというのはいい方法だなと思いながらステップ1は終了。
ステップ2 Relationship Centered Communication
今回の主訴の詳細をOpne Ended Question を用いて、聞いていく (例:Tell me about your pain 〜)
きちんと傾聴して、患者さんがどう思っているかを確認。(例:Sounds like you are wondering if 〜 )
問題によっては、患者さんにその症状をどう捉えているか、何をゴールとしているかを確認する。どんな感情を持っているかを認識する。
この感情に対して、共感を示す声かけをすることが大切であり、
PEARLSとして紹介されてたのは、
P : Partnership “Let’s work together on this”
E : Emotion “ I imagine how frustrating this is for you”
A : Apology “ I am so sorry to hear how difficult this is “
R : Respect “ I give you a lot of credit for getting through this as you have”
L : Legitimization (正当化) “Most people in your position would feel this same way”
S : Support “ I am going to stick with you through this “
最近はだいぶんこの辺りの言葉がするりと出るようになったが、ネイティブではない自分にとては言い回しのストック大事だなと。。。
ステップ3 Ending
ステップ2の後に、主訴以外に、異常がないかを確認するために、臓器別の確認口頭でして、身体所見をとって、最後に診察をまとめていくスキルがステップ3。
情報の共有 (Share Information)
患者さんと今後の治療計画について話し合いをする。患者さんの考えに寄り添いながら、簡単な言葉で説明をする。
理解度の確認(Assess Understanding) with ART
患者さんがきちんと理解しているかをアセスメントするのに、提唱されていたのが、ARTという技法。
A: Ask “ I ‘ve spoken a lot: Can you tell me in your own words what we’ve decided on ? “
R: Respond 患者さんが自分の言葉で治療内容や、今回の診療中の推奨事項を伝える。
”Sounds like a good summary”
T: Tell “もし、追加することがあれば伝える。
一方的に医療者側が話しても、患者さんが本当に理解してないこと多々ありなので。会話の中でこのARTのループを使って指導もできる。一度に情報を伝えたり、確認するのではなく、ちょっとづつ塊で確認する方が患者さんの理解には効果的であること。Chunk and check !
例)化学療法の指導などの時には、自分が一方的に話すのではなく、
A: これから受ける化学療法について、知ってることを教えてください?
副作用は、嘔気・嘔吐、下痢、神経障害、倦怠感です。
R:そうですね、その通りです。
T:あとは骨髄抑制による発熱がありますね。
A: それぞれの副作用の対処方法はどんなものがあったでしょうか?
吐き気の時には、Zofran, Compazine, Ativanの吐きどめを使います。下痢の時は、、、、、、
R:そのとうりです、あとは吐き気がコントロールできず嘔吐が続いて食べたり飲んだりが難しければ、脱水にならないよう点滴での水分補給をした方がいい場合もあるので。病院に連絡をしてください。
とまあ、ちょっとしたテクニックが盛りだくさん。英語のロールプレーはかなり緊張しましたが、ベテランのプロバイダーの皆様に見守られながら、無事終了。恥ずかしい思いもちょっとしましたが、このワークショップでの会話や経験はVEGAS RULEがモットーとのこと。* Vegus rule 一瞬は?っと思ったが、ここで起きた会話は口外しないというルールのことをいうらしい、、”What happens here, stays here.”
道すがら、妙に映画”Hang Over” が見たくなる土曜日でした。