診察室での言葉・文化の壁

診察室での言葉・文化の壁

アメリカは本当に多国籍国家だなと思う。昔NCLEX (アメリカの看護師試験)やナースプラクティショナー(NP)の試験でも文化について問う問題が入いってた。ガン領域では避けて通れない本人への告知。家族が患者さん本人への告知を躊躇するのは日本ならでは、もしくはアジアならではと思っていたがどうやら違うらしい。

先日、ヒスパニック系の患者さんをみたが、記録によると家族が告知しないでほしいと初回外来で頼み込んだ模様。もちろん、患者さんが治療の意思決定に参加することが大切なので、じっくり話し会い告知をする方向に持っていく。

他にも、家族が治療決定の先頭に立っていて、特に高齢の患者さん本人が化学療法に乗り気じゃなかったり、手術に乗り気じゃなくても、家族がゴリ押しして治療を決めていくということも結構ある。特に英語がネイティブではない患者さん、家族がこちらの通訳を使うことを断り、家族が通訳をすることがあったりするとこれがまた難しい。患者さんの権利を守る上で家族が拒んでも、治療方針の決定の際には通訳を家族とは別の中立な立場で通訳を使うのは結構大事だなと思う。

前出の告知拒んでいた家族をもつ患者さんは、”no quiero operarme?” と言っていたにも関わらず家族の一存で、手術も検討したいと。。。家族内の関係で患者さんの治療方針が決まるというのは、日本だけではないのだなと思った今日この頃。

とはいえ、これは本当に家族によるのかも。別のヒスパニックの患者さん(スペイン語オンリー)の娘さんは比較的冷静に状況を聞き、通訳をしつつも本人にどうしたいのかを確認して、早々に最後を国で迎えられるように準備をしていた。患者さんの権利を守りつつ、患者さんの家族もケアするのって難しいなと痛感。言語や文化は様々でも、家族の病気に思い悩むのは世界共通である。これという正解はない中で、NPである自分ができることはなんだろうと模索する毎日でもある。

現在の予後も含めた病状を伝えて行くこと、その時点でのオプション話し合い、納得が得られる選択肢を見つけるのを手伝うというのは日本で看護師をしていた時と変わらない。前は入院中の病院と比較的時間のある中で信頼関係を築く余裕があったが、今はセカンドオピニオンなどできた患者さんなど初対面で結構難しい話し合いになることも多々あり。取り止めもない文章になってしまったが、英語の言い回しのストックを増やしたいと思う今日この頃である。

スペイン語が話せたらもっと楽チンなのにとDuolingoを始めたが、いつか使える日は来るのだろうか。。。。

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